在校生インタビュー
内田愛優菜(多文化共生コース4年)
卒業論文テーマ…関係人口受け入れの効果と課題を考察する—島根県 隠岐郡海士町の「大人の島留学制度」を事例に—
多文化共生コース4年の内田さんに卒業論文やフィールドワークの体験、
それらを通し学んだことや、後輩、高校生に伝えたいことをお伺いしました。
Q1 研究の内容とそのテーマにたどり着いた背景は何ですか?
過疎化・高齢化・少子化に伴う地域の担い手不足を解消する存在として提唱され、全国の地方公共団体で受け入れが進んでいる「関係人口」について、受け入れの効果と課題を考察しました。研究では、島根県隠岐郡海士町を調査地とし、行政・移住者・関係人口・地域住民にインタビューを行いました。
このテーマにたどり着いたきっかけは、大学1年生の1月頃に、新聞の国内ニュース面を読んでいたところ、「コロナウイルス感染拡大の影響で旅行客激減、地方経済が危機」という記事を見つけたことです。記事内では「観光に頼らない地方創生の在り方(関係人口)」についても書かれており、「自身がイメージしていた地方創生の手法と違う。面白い」と感じました。
そこから2年生の春頃にかけて、「国内」「地域への流入人口の減少」「地方創生」「観光に頼らない地方創生(関係人口)」をキーワードに、ネット記事や本を読んでみました。読んでいて「面白い。もっと知りたい」と感じたので、このテーマにしました。
海士町を調査地として選んだ理由は、地方創生を重点政策として掲げていた安倍政権が2014年「まち・ ひと・しごと創生本部」を創設した際の演説で海士町を地方創生の成功事例として言及したことと、総務省が2018年度から開始した 「 関係人口創出・ 拡大事業」(モデル事業)において、「国民が関係人口』として地域と継続的なつながりを 持つ機会・きっかけを提供する地方公共団体」(「モデル地方公共団体」)に海士町が選出されたことが挙げられます。「地方創生」や「観光に頼らない地方創生(関係人口)」を研究するうえで、得られる情報が多い地域であると判断しました。
Q2 フィールドワークを実施し卒業論文を執筆した中で、最も学んだことは何ですか?
文献から得られる情報とフィールドに足を運んで得られる情報にかなりの違いがあることを学びまし
た。文献に書かれている情報は情報が古かったり、信憑性に欠けていたり、専門家の意見だったり
と、「実際に起きていること」を反映していないのではないかと感じることが複数回ありました。実
際に自身がフィールドに行ってみると、最新情報を聞くことができたり、肯定的な意見だけでなく否
定的な意見も含めて当事者の声を聞くことができたりしました。フィールドに足を運ぶことで、明確
な事実に基づいた研究を行うことができると学びました。
Q3 就職活動を終えて、さらに卒論も書き終えた今、後輩に伝えたいことはありますか?
フィールドワークの経験は卒業論文の執筆にはもちろん、就職活動やその後にも役立つということをお伝えしたいです。
私はフィールドワークにて、町内を歩き回り、出会った方に声をかけてインタビューを行っていました。町内を徒歩で移動した経験や、老若男女問わず自身から声をかけて会話した経験は、就職活動でも自己アピールの武器になりました。さらに、日常生活でも困難な出来事に直面した際に、この時の経験を思い出して自信をもって取り組むことができています。
Q4 多文化・国際協力学科で学んでよかったと思うこと、学科のアピールポイントは何ですか?
多文化・国際協力学科の卒業要件に「フィールドワークの実施」が定められている点がアピールポイントだと思います。フィールドワークを行うことで、ニュースや本などでは知ることができない、「最新の現場」や「当事者の声」を知ることができます。また、周囲の学生も皆フィールドワークを行っているので、様々な現場の話を聞くことができる面白さもあると思います。多文化・国際協力学科で学ぶことにより、情報を収集する力、情報を見極める力、フィールドワークの経験など、今後に生かせる強みが備わりました。
※掲載内容は取材当時のものです。